「マシニスト」という変わった映画は知ってますか?

目次
この映画、「マシニスト」の一番の良さは映像美ではないかと思います。
主人公の虚ろな日々に合わせるように、色合いやカメラの角度や様々な演出を、とてもこだわって作られているように感じました。
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この映画の主人公は男性で、工場で働く作業員なのですが、見た目は痩せこけ、疲労感を感じさせる姿をしています。
一年間眠ることが出来ない、という状況が男性を追い詰めているようでした。
けれど、サスペンスという感じでもありません。
ホラーでもなく、淡々と進んでいく毎日が、少しずつ変化をしていくような、静かな映画です。
静かですが、漠然とした不穏な空気も漂い続けます。
ちぐはぐなストーリー展開で、さっきまでいたはずの女性が別の人に変わっていたり、新しい同僚は怪しい男だったり、自宅の冷蔵庫には見知らぬメモが貼ってあったり。
話が進むに連れて、さらに理不尽な展開になり、主人公の居場所がどんどんなくなっていくのは、不気味でした。
しかし、主人公の過去が見えてきたときに、息が止まりそうになりました。
主人公を追い詰めていたと思っていた同僚の怪しい男は、実は存在すらしていません。
さらに、その男が所持していた車のナンバーは、一年前に自分が乗っていた車のナンバーでした。
同僚の男と主人公にどんな因縁があるのかと、そればかり気にしていたので、本当に驚きました。
そこから一気に話が展開していき、主人公は忘れていた記憶を思い出します。
主人公は、一年前にその車で、男の子をひき逃げしていたようでした。
その記憶が形を変えて、過去から逃げる主人公を追い詰めて、現実を突きつけていたようです。
ラストシーンで、自首をした主人公が、檻の中で眠りにつく姿が、胸に突き刺さりました。
そのシーンは、幸せそうでも辛そうでもなく、やっと眠れると、それだけを思っているように見えます。
普通の映画だと、自分や罪を受け止めて前を向いたり、後悔はあるけど晴れやかな顔をしていたり、そんな終わり方をよく見かけます。
しかしこの映画は、自分の記憶を消しても、警察に追われていなくても、一年ずっと後悔で押し潰されても、逃げることは出来ないのだろうな、と思わされるラストシーンでした。
思い返してみても、やっぱり全体的にかなり暗い映画です。
けれど、その暗さを映像で詩的に表現しているから、この映画は心に残ったのかもしれません。
過激なシーンもなくはないので、そこだけちょっと好きになれませんが、それでも綺麗な映画だったなと思います。
ちなみに、同じ監督でもなく、映画ですらありませんが、Noel Gallagher の曲の、「The Death Of You And Me」のMVを映画にしたらこうなるんじゃないかなと、勝手に思っています。
とても人を選ぶ映画です。
けれど、切なくて綺麗なものが好きな方は、結構はまるんじゃないでしょうか。
なにか、真に迫るものがあるような映画でした。