兄弟の確執から和解へ映画『レインマン』観たことありますか?

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映画「レインマン」とは自分勝手な弟(だとしか思えない)と、ピュアだけどとても生きづらい、自閉症を抱えている兄との物語でした。
西洋では特に兄弟姉妹を特定する単語が無いことから相互の関係が対等のように思われがちですが、兄弟間の確執はやはりそれなりに伴うようです。
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映画「レインマン」は見ていて切なくなる内容でした。
弟は相当の商売上手で口も達者。
頭の回転も速い、今時の若者です。
それなりの野心を抱いて、常に次のステップを踏まえてはいるのですが、誠実さという人間の資質においてとても重要な部分は疎かにしているなと思いました。
商売の取引が微妙な所になっている時に、疎遠だった父の訃報が届きますが、心を動かされた様子が全く見られませんでした。
何か両者の間には何か特別な事情があったのでしょうが、普通はありえないことですよね。
父親は相当な資産家で、事業の継続に資金を必要としている弟は当然父の遺産が全て自分の物になる計算をしていました。
ですが、当ては見事に外れました。
上手に使えば一生暮らせるだけの金額は見知らぬ人間の手の元へ。
弟は当然納得いきません。
手を尽くしてその相手を探し出してみるとそれは意外な人物でした。
幼くして母を亡くした弟は家族は父一人だと思い込んでいましたが、実は相当歳の離れた兄が知的障害者の施設で暮らしていることを知ったのです。
遺産をどうしても半分は手にしたい弟は思い切った行動に出ます。
恋人と共に施設から兄を連れ出して、後見人との交渉の道具にしようとしたのでした。
弟の気持ちもある程度は理解出来ます。
ですが他人も同然の兄を自分の家まで連れて行こうとする姿はどう見ても理解に苦しむ所でした。
実は兄は大きな問題を抱えているのですが、弟はそのことを深く考えもせずに直接行動に出たのですから二人の間には様々なトラブルが次々と起こります。
誘拐同然の手口で実の兄を連れ出したことに恋人は呆れ果てて、二人を置き去りにし、知的障害を抱える兄という大きな荷物を一人で背負うことになった弟は旅先で途方に暮れました。
兄はある意味天才なのですが日常生活におけるレベルではとても手の焼ける存在で、諸々のトラブルを起こし続けます。
弟の住む街へ飛行機で帰るはずが極度の環境の変化を嫌う兄は発作を起こし、父親から貰った唯一の遺産と言ってよい高級車(父子の関係断絶の原因ともなった車なのですが)ではるばるアメリカのほぼ中央から西へと向かうことになりました。
それでも弟は持ち前の機転で兄の起こす問題を解決してゆくのですが、最初はぎくしゃくしていた二人の心もピュアな兄のことを知っているうちにかたくなだった関係が徐々に氷解していったのはやはり血の絆だったのです。
旅の途中で弟は仕事の資金が尽き、破産寸前であることを悟って自暴自棄となります。
ですがここで思わぬ天の助けが。
ギャンブルの街で兄の特殊な能力を使って大金をせしめる方法を考えついたのです。
まず質屋で腕にしている高級時計を質草にして軍資金とし、林立するカジノホテルへ乗り込みます。
弟の目論見は見事成功して一夜にして負債を完済出来るだけの大金を二人で手にしました。ですがカジノも二人の手口を解析して以降の出入り禁止を申し渡して再び旅が始まりました…。
弟の家で新たな生活を始める予定の兄弟でした。
けれども、後見人との折衝や、ある小さな事件による兄の発作が再発したこともあり、二人は元のそれぞれの生活へ戻ることになりました。
後見人と共に長距離列車で元の施設へ帰る兄を弟は駅で見送るのですが、とても切ない別れの場面でした。
兄弟の確執という点では旧約聖書のカインとアベルの物語が有名ですが、確かに兄弟は親の愛を奪い合う一番身近な敵、であるというのも事実です。
この映画の良い点は単なるハッピーエンドでは無かった点ではないでしょうか。
実はこの映画「レインマン」のモデルとなった人物(故人)はサヴァン症候群という重度の脳の欠陥による症状であったことは広く知られています。
しかし、現実には映画の内容のような特殊能力ではないらしいのです。
そうですよね。
事実なら誰かが現実に億万長者になっているはずですから。
でも障害者とされる人にも意外な能力もあるという点を描いた作品としての功績は世に残るでしょう。
とにかく、今でも大好きな作品です。